Monday, September 28, 2015

berry

berry

Berry は「実」を指し、
 ストロベリー (strawberry)
 ブルーベリー (blue berry)
 ラズベリー (raspberry)
などのベリーであるから、今では
日本語の語彙にも入っている。
古英語の「実」、即ち、現代英語 fruit
相当する言葉は二語しかなく、
ウィークリーの語源辞典の
berry の項目には:
 ・これと apple は唯一実を指す土着語である。
(An Etymological Dictionary of Modern English,
published by Ernest Weekley , 1921, says
in the description of berry:
  
This and apple are the only native fruit names.)

apple berry も、人、または、鳥や獣が
好んで食べるものを指していた。

apple は果肉のつぶれにくいものを指し、
berry は果肉がつぶれやすいものを
指すのかもしれない
古英語期の berry は主に
 ぶどう (grape)
を指していた。
(Old English period: between c700 and c1150.)

berry はゲルマン語派の言葉で、
ゲルマン祖語 *basjam / *bazjam
「かがやく実」からできているという。
このゲルマン祖語は印欧祖語 *bhā-
「かがやく」から。この祖語の子孫語は
 beacon 「印、前触れ」
 beckon 「手招きする、合図する、印」
 banner 「横断幕、バナー」
 band 「団体、バンド」
などである。

印欧祖語の bh- は古典ギリシャ語の ph-
対応し、たとえば、phos 「光」から、
 phosphorus 「リン」
ができている。また、
phainein 「光にさらす、見せる」から、
 fantasy 「空想、ファンタジー」
 phantom 「霊、幻」
 phase 「段階、過程」
 phenomenon 「現象」
などができている。

また、梵語 bhas- は「食べる」こと。

この語源説に従うと、
berry
とは「目立つもの、現れるもの」
ということになるかもしれない。

現代語の berry
(果肉内部の硬くて大きなたね) のないものを
指すが、古くは必ずしもそうではなく、
鳥さくらんぼ (bird-cherry) のように、
実に比して大粒の種が入っているものも
berry
と呼んでいた。

berry
は概ね、低木や低木状、
つる状の植物、及び、
それらの実を広く指す。
mulberry
bilberry など -berry
ついているものは、もちろん、
例えば、
 セイヨウヒイラギ (holly)
 ヤドリギ (mistletoe)
 バラの実 (rose hip)
などは -berry がついていなくとも、
berry と呼ばれる場合がある。
スコットランドやイングランド北部では、
 グズベリー (gooseberry)
berry と呼ぶ。

berry は、小粒の「実」に類似する
「たね、豆」を指すようになり、
十八世紀になると、
 コーヒー豆 (coffee bean)
を指すようになった。

fruit が英語に入ったのは中英語期。
(Middle English Period: c1100c1500)
こちらはラテン語の
動詞語根 frui- 「喜ぶ」から。
名詞形 fruitio (英語 fruition) は、
「成果、結実、達成」と
いった意味だが、原義的には
「よろこび」であった。
 Fruition came via Old French from Latin
 whose original sense was “enjoyment.”
berry はまた、植物学的には
「液果」のことであり、
 トマト (tomato)
 バナナ (banana)
 レモン (lemon)
 きゅうり (cucumber)
 瓜 (guord)
 パイナッブル (pineapple)
など、パルプ状の果肉の中に
複数の種子がある実を指す。
 ・The pineapple is neither a pine nor an apple.
 It's actually a very big berry.
 パイナッブルは松 (パイン) でもアップルでもない。
 実際にはとても大きな液果である。
 
英国人はトマトを
apple
と呼んだこともあるが、
植物学的には berry である。

また、植物学的には、
-berry
の名がついていても、
 berry
に属さないものがある。  
 ・Many so-called berries do not fit
 the botanical definition. Strawberries
 raspberries, and mulberries, for exmaple,
 are not berries.
 ・ベリーの名で呼ばれる多くのものは
 植物学的定義に合致しない。例えば、
 ストロベー ()、ラズベリー、
 マルベリー () はベリーではない。

果実や実はありがたいものであるから、
二十世紀になると、「ドル」ゃ「ポンド」の
俗語的用法が発生し、転じて、
「いいもの、できのいい人」の意味ができた。
 ・He pulls down 6,000 berries a uear.
 ・彼は年に六千ドル引き落とす。

 ・You think you're the berries, don't you?
 Well, you might have been once,
 but you're a flat-tire these days!
 ・あんたはできがいい、てか?
 まあ昔はそうだったんだろうけど、
 近頃じゃあパンクしたタイヤだ。

berry は「魚 / 海老の卵」、あるいは、
「魚精、しらこ」を指すこともある。
魚卵などは植物の berry
形や色が類似していて、
両方とも食べることがてぎるという
共通点がある。
この意味での使用例は十八世紀から。
in berry
berried は、
水産物についていえば、
「子持ちの、卵を有する」こと。
OED
は次の用例文を採録している。
 ・Hen lobsters are found in berry
 at all times of the year.    
 ・雌のロブスターは一年中いつも
 子持ちで見つかる。

Berries には謎めいた俗語的語義
 猫のひげ (cat’s whiskers)
の意味がある。

berry は動詞では、
「ベリーをとる、ie. いちご狩りをする」こと。
berrying
はその名詞形。
 ・"Let's go berrying this weekend,"
 said the aunt.
 ・「週末にベリーを摘みに行きましょう」
 とおばさんは言った。

berry
[Old English bęrie “small egg-shaped juicy fruit (generally, one without a stone); this Anglo-Saxon word was chiefly applied to the grape; & is of Germanic origin. Since the 18th century, the word berry also mean the “coffee bean.” In the modern botanical sense, the word berry refers to the banana, tomato, cucumber, orange, lemon, etc., which have many seeds in their pulpy flesh.
 Berries are also the eggs or roe of a fish or similar creature. They resemble berries of plants in shape & color, & have the common point of which both can be eaten.
 Berries, in slang, mean “dollars” or “pounds”; hence, “the good thing or person.”  Berries also has a mysterious slang sense: “cat’s whiskers.”]

COGNATES in GERMANIC BRANCH
German Beere
Danish bær
Norwegian berry
Swedish bär
Icelandic Berry [Old Norse ber]
Dutch bes
Gothic weinabasi “grape.” (-basi “berry”)


Friday, September 25, 2015

Brown as a Berry

Brown as a Berry 

Brown as a berry ---
実のように茶色い」とは
「よく日焼けしている」こと。
 He was as brown as a berry
 and spent all day sunning himself
 on the deck.
 彼はよく日焼けしていて、
 一日中デッキで日光浴をして
 過ごしていた。

初出は中英語期に記された
チョーサー作の『カンタベリー物語』。
馬のことを表現するのにも用いているから、
「日焼けしている」ことだけではなく、
動物を指すときは 
 「茶色の毛並みの
の意味になる。

Berry は古英語では
 ぶどう (grape)
を指すことか多く、また、
Brown は「暗い (色の)」の
意味であったから、
Brown as a berry
「ぶどうのように黒い」が
原義なのかもしれない。


brown as a berry
[The term was first printed in Geoffrey Chaucer’s Canterbury Tales written in Middle English. The original sense may have been “dark as a grape.” In Present-Day English, the phrase expresses the color of the suntanned human skin or animal’s coat.] 

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